春を待つ

- 美濃 2023年3月 -








螢葛 -金生山-


まだ春の彼岸が過ぎたばかりというのに、もう螢葛
螢葛が咲き始めるとホタルの季節が近いことを知る、、、それが例年。今年は、なんと、早くもこの咲き方だ

温暖化なのだろうが、東海地方では卒業式前に桜が満開となった。入学式には残っているところがあるのだろうか
かつて歌謡曲に歌われた桜は新しい出会いと始まりの象徴だった。今や桜は別れの象徴てあるばかりか、入学式を新緑の中で迎えるところまで出てきそうだ

以前の資料だが、次のような指摘がある

https://weathernews.jp/s/topics/202004/100165/

それによると2082年から2100年には南東北〜九州北部がいっせいに開花するようになるらしい。また暖冬のため休眠打破が行われないため、桜が開花しない地域がある他、開花しても満開にならないというシミュレーションも報告されている

2023年のソメイヨシノの開花を見ると、もはやすぐそこまで迫っているように思われてならない (3月25日撮影)









猩々袴 -揖斐谷-


もうそろそろかな。近在の山へ出かけてみると、やっぱり咲き始めていた
猩々袴

この花を見ると思い出す。高校2年生の春休み、研究会の仲間たちと一緒に群集墳の分布調査に傷だらけになりながら藪山をはいずり回っていたとき、この花に出会った
仲間の一人が「雪割草じゃないか」と言ったけれど、山野草に全く興味がなかった私にわかるはずもなかった
後になって分布調査の概要をまとめる段になったとき、この花を見つけた一人が雪割草じゃなくて猩々袴だったと研究会の通信に書いた。そして「雪割草の方が相応しいんじゃないか」との感想を付け加えていた

気がつけばあの春から50年が過ぎた
猩々袴を見る度にあの春の日を思い出す









お目覚めの深山方喰 -揖斐谷-


深山方喰はほんのりと赤味がかかっているのがいい
「みやま」はこうじゃなくてはと、自然に頬が緩む
人には見られたくない自分の顔だ









昨夜は時雨れた
朝起きて辺りを見回すと、山の頂が白くなっていた

日が昇ると気温は上昇し、昨日のような北から吹く強風もなく春本番を感じさせる陽気になった
日差しに誘われて少しだけ近くの山を歩くと、頭上でコンコンと木をつつくドラミングの音がする
そっと見上げると数羽のコゲラがしきりに木をつついていた
枝の葉が少ないこの季節は野鳥を探しやすい

春枯れの季節は鳥たちにとっては一番大変な時期なんだろうな、と思う









ヒーヒー という鳴き声に、ヒヨドリとは似ているようで違うなぁと思いながら辺りを見回す
やがてチリチリという鳴き声も聞こえる

あっヒレンジャクだ
こんな所にいたんだと驚きながらカメラを取り出す

撮影したのは2羽
2羽とも尾の先端が赤いのでヒレンジャクに間違いない
もっと大きな群れで飛来・行動すると思っていただけに少し意外だった
越冬地である日本列島への飛来数は年によって増減があるらしいが、気づかないだけでこの冬はあちこちに来ているんだろうな

あまりの暖かさに越冬地を飛び立つタイミングを計りかねているのかもしれない、と少し心配になる